二次流通事業者様へ
SIZELESS TWINで販売される全作品は、ブロックチェーンインフラ「Startrail」によって、その来歴が記録され、さらに、二次流通において、その制作者に「還元金」が分配されます。Startrailは、「良いクリエイティブ」を永く愛し、継承する文化を醸成することで、クリエイティブ産業の持続的発展の基盤となります。本ページでは、二次流通事業者の皆様がStartrailのエコシステムに参画し、還元金機能を実装する方法をご紹介いたします。
対 象
- アート関連事業者：アートオークション、アートeコマースなど
- その他二次流通事業者：ネットフリマ、ネットオークション、ECショップ作成サービスなど
※商品管理システムなど、オフラインのシステムも対象
1. 概要
二次流通事業者は、本展覧会で販売された物理およびデジタル作品の公式仲介者として、ブロックチェーンインフラ「Startrail」に参画することで、還元金を含む、作品契約の締結・執行の権限が与えられます。さらに、作品鑑定などの詳細情報の閲覧および所有や展示などの来歴の追記も可能となります。
2. 背景
インターネット誕生以降、売主と買主のマッチングが効率化された結果、二次流通市場が急拡大しました。しかし、二次流通には、セキュリティや権利・契約の継承、ブランドの保護など、多くの課題がいまだ残っています。
特に、作品の流通管理が困難なアート市場においては、作品がアーティストの手を離れてから、コレクターやギャラリー、批評家、キュレーター、美術館などが、その表現に解釈を加えることで、作品の真の価値が定まっていく特徴があります。例えば、2015年に226億円で落札されたジャクソン・ポロック「Number 17A」は、1948年時点では150万円で販売されていました。しかしながら、時に時代を時に国境を越えて流通する作品の情報を、所有者のプライバシーを尊重しながら、一元管理する手段はありませんでした。
これらの課題を解決しうるテクノロジーとして、ブロックチェーンひいてはNFTが期待されています。
3. Startrailとは
Startrailは、作品の真正性担保と価値継承に関わる情報を記録する、ブロックチェーンインフラです。複数のスマートコントラクトから構成され、NFT（ブロックチェーン証明書）の発行や作品の流通・利用に関する作品規約を設定することができます。
また、Startrailは、持続的に公益に資するため、分散型ストレージによるデータ保持およびガバナンストークンを基盤とした多数の主体による運営に順次移行する予定です。
4. 還元金機能について
Startrailのスマートコントラクト群は、パブリックブロックチェーン上にデプロイされているため、Startrailと接続したサービスはStartrailの提供機能を実行するだけでなく、相互に連携することも可能です。特に、還元金の場合、制作者と所有者間の契約関係が、二次流通事業者を介して自動更新され、販売額の一部が制作者に分配されます。具体的には、売主から買主へのNFT（ブロックチェーン証明書）の移転を契機として、制作者への還元金の支払のプロセスが開始され、二次流通サービスがもつ価格情報とStartrail上の還元金料率をもとに、制作者に還元金が支払われます。
5. Startrailとの連携方法
二次流通サービスが、還元金機能を利用するためには、Startrailとの連携が必要です。
Startrail APIを介してStartrailと連携することで、Startrailが発行・管理するNFTに関して、ブロックチェーン上に存在する情報およびそれと紐づけられたメタデータを取得できます。
Startrail APIを介してStartrailと連携することで、Startrailが発行・管理するNFTに関して、ブロックチェーン上に存在する情報およびそれと紐づけられたメタデータを取得できます。
このAPIをリクエストすることで作品のオーナー情報やアーティスト情報、ひいては、還元金に関する情報を取得することができます。
以下はブロックチェーン上に存在する所有者やアーティスト情報を取得するAPIです。
以下はブロックチェーン上に存在する所有者やアーティスト情報を取得するAPIです。
https://api.startrail.io/api/v1/srr?tokenId=889425280458
このリクエストは以下の結果を返却します。（抜粋）
[
{
"id": "889425280458",
...
"issuer": {
"id":"0x3a262075cD1E394afb70bB6Ae6DfEA9667346248",
"walletAddress":"0x3a262075cD1E394afb70bB6Ae6DfEA9667346248",
"owners": [
"0xF4D79f843eCd83C7292A73Fe2079738d5d86D86c"
,"0x16E3970970a62Dfc47061183eD978FC49723FCcd"
,...
],
"artist": {
"id": "0x6D2600Bf66572F617564a35090AF83EDEc1C52e0",
"walletAddress": "0x6D2600Bf66572F617564a35090AF83EDEc1C52e0",
"owners": [
"0x007b2aFBAfe582062AAd57351A4444cB207f1876",
"0x1027485dD6119F18300757bd266b106df40bfD9e"
],
"originalName":"アンリアレイジ",
"englishName":"ANREALAGE",
"userType":"artist"
},
...
}
]
また、作品情報に紐づけられたmetadataは以下のように取得できます。
https://api.startrail.io/api/v1/srr/metadata/889425280458.json
このリクエストは以下の結果を返却します。（抜粋）
{
"$schema": "https://api.startrail.io/api/v1/schema/registry-record-metadata.v2.0.schema.json",
"$schemaIntegrity": "sha256-f63238ce3b8c4f8a99fb453d716d5451f75508c2e403a58af0412014187e7a61",
"attachmentFiles": [],
"contractTerms": {
"fileURL":"https://static-files.startrail.io/srr-contract-terms/0x3a262075cD1E394afb70bB6Ae6DfEA9667346248/220304_Contract%20Terms_NFT_sizeless%20twin_Anrealage.pdf",
"royaltyRate":10
},
...
"external_url": "https://cert.startbahn.io/srr/889425280458",
"image": "https://static-files.startrail.io/srr-images/0x3a262075cD1E394afb70bB6Ae6DfEA9667346248/DIMENSION19_metaverse.png",
"isDigital": true,
...
}
Startrailで発行されたNFTを扱うマーケットプレイスは、この返却結果にあるroyaltyRateを用いることでアーティストへの還元金を支払うことが可能となります。
現状として、還元金レートを利用するかはマーケットプレイス側の対応に依拠しなければならないところがあります。
現状として、還元金レートを利用するかはマーケットプレイス側の対応に依拠しなければならないところがあります。
2022年3月30日に、自民党デジタル社会推進本部 NFT政策検討PT（平将明 PT座長）で取りまとめられたNFTホワイトペーパー（案）においても、
NFTの特徴として、発行者はNFTが二次的に流通した時にも一定のロイヤリティを受け取ることができるとの説明がなされることがあるが、こうした二次流通時のロイヤリティ率の設定や収受・支払を実行する機能は、現在のところマーケットプレイスごとに設けられた独自の仕組みに過ぎない。パブリックチェーンを利用して発行されたNFTについて、プラットフォーム横断的にロイヤリティを収受するためには、ロイヤリティに関する情報を設定可能な規格のもとでNFTを発行し、かつ各プラットフォームが当該規格に準拠したNFTの取引に対応していることを要するが、現在多くのマーケットプレイスが対応するERC-721やERC-1155といった標準的な規格に、ロイヤリティに関する情報を設定できるものは見当たらない。
2022年3月30日に、自民党デジタル社会推進本部 NFT政策検討PT（平将明 PT座長）で取りまとめられたNFTホワイトペーパー（案）においても、
横断的なロイヤリティ収受の実現に向けた取組を行う場合には、業界団体と連携し、マーケットプレイス間でのロイヤリティ設定に関する情報の連携を促すほか、こうした情報の設定が可能な規格提案（例えば、EIP-2571: Creators' Royalty Token standard10やERC-2981: NFT Royalty Standard11が知られている。）の採用に向けた一定の働きかけを行うべきである。
との提言がなされています。
Startrailとしては、現状の仕組みに甘んじることなく、業界団体にとってより使いやすい仕組みの提供を推進し、アーティストへの還元金支払いを取りこぼすことのない設計を国内外に向けて実装していく方針です。
今後のアップデートにつき、Startrailのwebサイトに掲載予定です。
二次流通事業者様で参加ご希望の方は下記までご連絡ください。担当：渡辺